陶芸に取り組むことのいい点

リハビリテーションの中の作業療法において、
陶芸は次のような特徴を持っている。


1 手指をよく使うことによって、
  病気などで損なわれた脳の 
  神経細胞の機能の回復の促進。
2 手指や上肢の協調・巧緻動作の回復の促進。
3 生活の質(QOL)や内容の向上。
4 生きがいや集団活動の開発。
5 幼児においては、精神や運動の発達の促進。      

「生きがい」という言葉は抽象的で
いったい、どすれば具現化できるものか・・・
3年掛けて取り組んでみて・・・

生涯学習

   陶 芸 を 生 涯 学 習 に

2011年6月25日土曜日

陶板 老人ホーム共同制作

        老人ホームのお年寄り達の手による制作。
        
        ベニ柄、色顔料を混ぜて練った粘土を
        2~3センチの玉にして
        
        100サイズの粘土の板(厚さ3~4センチ)を延ばし
        デザインした絵の輪郭を線引、配色を決め
        色粘土の玉を着ける。
    
        窯詰め、窯焚きは、板(コンパネ)にのせたままで焼く。
          ※公共文化施設(美術館付属)収蔵
        

                      100号サイズ
                 「雪景色」


                   「秋の山」  陶  100号

                  「 夏 」    陶  100号
                  「 春 」  陶     100号

美術館で老人ホームの展覧会


老人ホーム陶芸展 美術館で




陶芸に取り組む意味は・・

知人の精神科の医師は下記のようにアドバイスを・・。

老人ホームのような施設で陶芸に取り組む意義は、
1)陶芸には 感動がある・・。
   それまで土だったものを、陶芸窯で焼いて作品が出て来るときは、
   輝き、色を放つ焼き物になっている、それを体験すると感動する。
   人にほめられうれしい・・これも感動。

   展覧会に出品 入選すると感動、
   賞を獲得できるならもっといい
   これらを目標に持つこと、達成すことは大いに生甲斐になる。


 2)行動範囲が広がる・・・。
   施設の中では生活が単調でマンネリ、刺激が少ない。
   部屋から出て施設内の陶芸室に通うことは
   単調になりがちな生活に変化を与える。

   美術館や画廊等へ陶芸展などを観に行く目的を持て、
   施設の外へ行くきっかけが出来る・・・行動範囲が広がる。

 3)人との交流
   陶芸を通じて同じ興味を共有する人同士の人との交流が持てる

 4)社会参加が出来る。
    作った焼き物を販売したり、
    人に贈ることは社会参加活動になる。

    習得した陶芸の技術を、他の福祉施設、
    保育園、公民館活動などで教える事ができれば
    施設に入る事で狭くなりがちな行動範囲が
    陶芸を通じで社会参加ができるようになる・・・。


単調な生活、少なくなる人との交流、少なくなる社会参加、
少なくなる感動すること・・、
特に、施設等で生活する高齢者にとって
抱えがちな問題は多い・・

陶芸に取り組む事は、これらの問題の解消に役立つ。
老化や痴呆症の進行などを軽減させる効果はおおいに期待できる。

 陶芸に取り組む意味は大きい。


3年前 老人ホームで 美術展に挑戦しましょう、という私の呼びかけに
皆さんは、自分たちは未熟で素人だから展覧会なんて、とんでも・・・と
否定、しり込みしました。

作品を展覧会に出すことは

目標を持つこと。
入選すれば感動が・・。
施設の内側から外へ積極的に出かけるように・なる・

3年目で目標に到達

                   この記事はその地方の有力紙のコラム

                   お年寄りたちが陶芸で社会参加を取り戻したことに・・・



                   これはひとつの結論ですが
                   「やれば出来る」の
                   経緯はこれからブログに

県美展 3年目で特選受賞者が・・



”特賞 県教育委員会長賞”
昨年の”ポンペイ”は箱そのもので
箱が置いてある、と言う感じ。
今回は高台(台座)を付けて
箱全体が浮かんで見えるよにする。

浮いて見えることで
箱の形体が軽く見える。

昨年の作品と比較すれば
その違い、スマートな感じがわかる。

 釉薬は市販の青銅マット釉
スプレー掛け。

造作は粘土の板の組み合わせで
そうむつかいい技術ではない。

同じテーマ、スタイルを通していることも
審査員に対して、向上、努力が見えやすくなる。

賞の対象として評価される可能性が高まる。

県美展入選作品”ポンペイ”


和風ではなく洋風。
趣味、好みからこのテーマを。

下の昨年作品は粘土の板を伸ばす際、
レース網のテーブルセンター(本人自作)
を下敷きにして文様をだして
楕円形に組み立てた作品で、
今年は6枚の粘土板を組み立てて
既成の釉薬(トルコブルー)をスプレーがけした。

下、昨年の釉薬は
市販の「織部釉」
下が赤で上が緑なわけは
下段が耐火粘土で出来た箱(サヤ)
に木炭が入っていたために
その木炭の影響を受けて
織部の緑が赤に変色、グラデーションになった。

こういう変化は中学の理科で習う程度の知識の範囲で説明、理解できるものです。


公募に出品しようとするなら
去年の作品にたいして
今年は、こういう点に工夫して
よりよくしました、というような
ポイントをひとつだけでも
盛り込めば
審査員にも評価されると思います。

去年と今年は、技法や形態、
がまるっきり違えてしまうやり方はでは
審査員も、この出品者が
どう努力して、向上したか
解かりにくく、判断できなくなることで・・
少なくとも公募展等で審査員に見てもらいたい場合は
技法やデザインに一貫性を持たせたほうが良さそうに思います。

    ※ 公募展で賞を狙うには必須事項。

県美展入選作品”月にススキのまな板皿”


左は昨年の入選作品 ”灰釉まな板皿”
これは、ただ粘土の板を作り、自然な形の反りは
左右両端の下に粘土の枕を置き、
窯の熱で自然に反りが出るようにしただけ。
それ以外に造形上の工夫はなく作れた作品。
                今年は、
                ひと工夫を加え昨年との違いを出す。
                ただそれでも簡単な、誰でも出来ること、技術はいらない。
               
                  海水に一晩漬けた稲ワラを皿の上に配置して
                 丸い円(満月に見立て)は耐火粘土で作った煎餅状の
                 丸板を置き、全体にスプレーで木灰を掛けて焼いた、だけ。
                 あとは窯の火任せ。

               ※海水に漬けたワラ、は備前焼きの火襷の技法。
                 塩分(ナトリウム)が付着すると低い温度で土が溶ける。                             稲ワラが付着した部分だけ色が違う。

                ※ 耐火粘土の煎餅・・・はこれを皿の上に置いたまま
                  焼くと、この部分だけ炎にさらされないために
                  ここだけ土の発色が異なる、というだけ。

             これらの手法を組み合わせると、絵が苦手です、という人もデザインが出来る。






県美展入選 陶箱


”練りこみの技法”、
  土を練るとき、あらかじめ顔料(青と藍色)を混ぜ着色した
  色粘土と白粘土を混ぜ合わせる。
  よく練る過ぎると色が混ざりすぎひとつの色になってしまうので
  適当にやめる。
  そうやって練ったばかりの3色粘土は境目ははっきりせず
  なにかしら汚れた粘土、という風だけど
  半乾きになったら陶芸で仕上げの削りに使うカンナで
  薄く削ると、この様なきれいな”練りこみ”文様が現れる。

 箱にするには昨年と同じ、本体と蓋を切り分け
 それぞれ内側をくりぬくだけ。
 これらに特別な技術は必要ない。
 根気よく、丁寧にしさえすればいい。
 手間が掛かり、制作時間(日数)が長引き粘土が固くなるような場合は
 ビニールで包んだり、衣装ケース(プラスチック)に入れ乾燥を止めれば
 時間は気にしなくていい。1週間でも1ヶ月でも制作に時間は掛けられる。
 
 
 昨年は塊の粘土を削って形にした”面取り”の技法だった。
 今年は昨年よりちょっと工夫した作品で賞を目指す。




昨年の入選作品 陶箱




県美展で入賞!

            県美術展で奨励賞を受ける。

             こういう経験はほかでは味わえない貴重な感動では・・

                 昨年の入選作品は全体的に細くなっていた。
                 これに比べて、今年は全体の丸みを出して
                  大きさ、曲線の豊かさを出して
                  昨年の作品との違いを出す。


                 ※これらは学習の内容のノートで
                   実際の制作は、皆さんがそれぞれ自分の手で行った。
                   作りにくい場面でも、たとえ時間が掛かっても、
                   提案はしても、自分で作るという事が重要。
                   説明、提案メモはファックスで送信したもの。
               
         
                美術展で入選、より上を目指す 方法


                          
                     昨年の県美展入選作品、
                    今年は入賞を目指して
                    昨年より向上しているという違いをはっきり見せる。






県美展への挑戦、2年目


                    県美術展 2年目の挑戦結果 地元新聞



美術展入選の喜びを知らせる新聞


                 「うれしい県展初入選」
               = 老人ホームの入居者5人=
                  工芸部門、初出品で快挙

県美術展へ挑戦

                 これら 初歩的な技術で出来る焼き物。
              例 「灰釉大皿」 
                 粘土をひたすら叩いて伸ばし
                 板状にしてカットするだけの板皿。
                 反りは、窯詰めの際左右の端を道具土で
                 作った棒の上に置くだけ
                 自然で柔かい曲線が出せる。
                 色は赤土を使い水で溶いた木灰を
                 噴霧器で掛ける、だけ。後は火任せ。
                 熟練を要する技術はどこにもない。  等々

                ※ それぞれの方が 2年3年見越して
                   興味を持てて継続できるような技法を
                   自分のテーマとして選ぶ事が必要。
                  


つくりかた

                   高齢者向けの手引き書つくりからはじめる
                   
                   △熟練を要するような技法でなく
                    基本的でやさしい作り方で作品つくり。
               
                   △要点は、造作を雑でなく丁寧にする事・・。
                      最終的な仕上げは窯の炎で。
                       あとは 窯詰めや焚き方を工夫(施設長の仕事)
                  

もうひとつのアドバイス

知人の精神科の医師は下記のようにアドバイスを・・。

 老人ホームのような施設で陶芸に取り組み意義は、

1)陶芸には 感動がある。
   それまで土だったものが窯で焼いて出て来るときは
   輝き色を放つ焼き物になっている、それは感動する。
   
   人にほめられうれしい・・これも感動。
   
   展覧会に出品 入選し新聞に名前が出ると感動する。
   賞獲得ならなおいい。

   

 2)行動範囲が広がる。
   施設の中では生活が単調でマンネリ、刺激が少ない。
   施設内といえど、部屋から出て陶芸室に通うだけでも
   単調になりがちな生活に変化を与える。
 
   陶芸展などを観に行くという関心が持てると
   施設の外へ行くきっかけになるかも・・・。

 3)人との交流
    陶芸を通じて同じ興味を共有する人同士の人との交流。

 4)社会参加が出来る。
    作った焼き物を販売したり、
    人に贈って喜ばれることでもいい。
    習得した技術を、他の福祉施設、
    保育園、公民館などで教える事ができれば
    施設に入る事で狭くなり勝ちな社会参加ができるようになる・・・。

これらは高齢者が抱える問題に関係している。
単調な生活、少なくなる人との交流、少なくなる社会参加、
減る感動すること、
陶芸に取り組む事は良いこと。
老化や痴呆症の進行などを軽減させる効果は大きい、

 このような事を考えてカリキュラムを組み立てて取り組めばいい・・・。


陶芸に取り組むとは、医学博士によれば

リハビリテーションの中の作業療法において、
陶芸は次のような特徴を持ている。


1 手指をよく使うことによって、
  病気などで損なわれた脳の 
  神経細胞の機能の回復の促進。
2 手指や上肢の協調・巧緻動作の回復の促進。
3 生活の質(QOL)や内容の向上。
4 生きがいや集団活動の開発。
5 幼児においては、精神や運動の発達の促進。

生涯学習で、陶芸に取り組むことが何の役に立つのだろうか
具体的に進めることの目的や意義が見出せない私に
知人の医師(脳外科)がくれた言葉。

老人ホームで取り組みはじめた陶芸

ある老人ホームの依頼で
厚生省(当時)の呼びかける生き甲斐対策の一環で

陶芸に取り組むということから陶芸窯を作りました。



陶芸指導の事もあったので数日滞在。



朝、地方新聞を示した施設長

その地域の老人ホーム対抗の運動会の記事に

宣誓するお年寄りの写真が・・・

「こんなことでもない限り身内や親戚は訪ねては来ない・・・

 新聞に名前や写真でも出ると、これはうちの親戚だ・・とか言って・・。」

「新聞に名前を出すぐらいなら、陶芸でできますよ、

 そんな風に役に立つことであれば そう取り組めばいい。手伝いますよ。」

「そんなこと、ほんとに出来ますか?」



そこで取り組み始め経験した陶芸指導。



施設全体の慰安旅行に同行、

途中で空港見学。

屋上見学客スペースの金網越しに離陸する飛行機を眺める

お年寄りの後ろ姿に、

皆さんも何時かあの飛行機に乗って東京の美術館へでも

行きませんか、陶芸をやりながら行きましょう。と・・・・(胸の中で言いました)









2011年6月24日金曜日

生涯学習の中の陶芸

十何年か前、
厚生省(当時の省名)が打ち出した
シルバープラン・・・・とかいうような名称で
高齢者生き甲斐対策として
導入したら(取り組んだら)いいと奨励されたものに
陶芸が・・。